成年後見9-親亡き後問題

みなさんは「親亡き後問題」という言葉を聞いたことがありますか。
これは、知的障害者や精神障害者、あるいは重度の身体障害者の両親が
亡くなったあとに、残された障害者がどう生きていくのか、その生活を誰が支援
していくのかという問題です。

これまで障害者である子の将来の心配のあまり、親が子と無理心中してしまう
悲惨な事件も数多く起こっています。

さて、成年後見制度はこのような親亡き後問題に対して活用できると考えれて
います。じつは私も成年後見制度が施行された平成12年に、この問題と
成年後見制度の活用法を論文にした経験があります。

ところで、その話はさておき、私はいつも大田区大森にある事務所の仕事を
終えると、京浜急行線の平和島駅まで18分ほど歩きます。そこから
電車に50分ほど乗って馬堀海岸駅で下車します。

じつはここ10数年、この平和島駅までの帰り道に「親子」と見受けられる
女性の二人連れとすれ違うことがたびたびあります。一人は70歳少し手前の年齢
の方、もう一人は40歳代と思われる方です。

若い女性は年上の女性にいつも手を引かれています。二人は寄り添い歩きながら
親しげに会話しています。しかし、若い女性は全盲と見受けられます。
私はこの二人にすれ違いうたびに、これも人間愛のうるわしい情景
なだあと思っておりました。たしかに人間愛であることに違いありません。
それが先日、すれ違った際、これまで考えなかったことが私の心に浮んでしまいました。

「ああ、この年上の女性が亡くなってしまったら、この全盲の女性は一人で
歩けなくなってしまう。今から一人で歩く練習をしないと悲しいことになる」

私はこの時、あの「親亡き後問題」という言葉をまた思い出した次第です。
人間の善意は時には、それを受ける者に、結果として不幸を与えることがあるのです。

司法書士松井秀樹(2010.11.04) | PermaLink

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